研究紹介
対象領域に適したセンシング技術の開発、収集データの分析・統計処理、機械学習による可視化や意思決定支援およびロボティクス・アプリ開発による実務適用の一連の流れを共同研究先と研究室内で完結して行います。
「学会発表や論文投稿は途中過程、新しい技術開発による課題解決や新サービスの創出がゴール」の方針のもと、これまでに多くの学生による特許出願や共同研究を実施しています。
直近で取り組んでいる研究テーマについて、以下にまとめます。担当が未割り当てのものは、現状休止している研究テーマです。
Project 1 スマートマニュファクチャリング
デジタルツイン基盤
現場データ収集を行い可視化をすることで、工場のデジタルツインを実現する研究。MESに代わるデジタルツイン基盤を設計・開発することを目的に取り組んでいます。(担当:堀川三好)
物体検出による仕掛在庫の把握
工場内に設置されたカメラから仕掛品の数量を把握することで、作業支援、タクトタイムの把握、ラインバランシングに活用する研究。人と物の可視化技術の融合についても取り組んでいます。(担当:小山田朱里)
一人称視点カメラによる行動分析
広範囲に移動する作業を対象として、一人称視点カメラを用いた行動分析を行う技術開発。ARマーカーや音声分析による高精度な行動分析を可能とします。
また、簡易センサデータを入力値、行動分析結果を教師データとした機械学習により、長期運用可能な技術の確立に取り組んでいます。(担当:藤原純大)
人間中心のスマートファクトリ
IoT/AIを活用した人・機械・物の可視化技術とインダストリアルエンジニアリングの融合によるボトムアップ型のスマートファクトリの実現に取り組んでいます。2024年度いわて戦略的DX・GX等研究開発推進事業に採択され、地域企業と共同研究として事業化を目指しています。(担当:猪股一歩希)
セル生産を対象とした動作分類
セル生産の組立作業を対象に、全身骨格データと簡易センサを用いて動作分類を行う技術開発。セル生産の場合に課題となる骨格データの欠損に強い機械学習モデルを開発し、協力企業への導入に挑戦しています。(担当:高橋七菜)
簡易センサを用いた動作分類
簡易センサから取得可能な、加速度・各速度・位置データのみを用いて教師なし学習による動作分類を行う技術開発。変化点検知による区間抽出やクラスター分析による動作分類を行うことで、大雑把な動作ガントチャートを作成し、分析に活用することが可能です。(担当:藤原純大)
組立作業を対象とした動作分類
ライン生産等の固定位置での組立作業者の動作分類を、物体検出と手の骨格データから即時性高く行う技術開発。作業ガントチャートの生成のみならず、時空間特徴量に基づくデータ駆動型の逸脱動作の検出も可能な技術です。(担当:藤原龍聖)
骨格データを用いた個人識別
工場の作業者は、同じ帽子、作業着、マスクを着用することが多く、顔認証等で個人識別できないことが多いです。そのため、全身骨格データの特徴量からグラフニューラルネットワークを使って個人識別をする技術開発に取り組んでいます。簡易センサを使って容易にアノテーションを行う技術も開発しています。(担当:高橋七菜)
Project 2 電波を用いた測位・行動認識
濃煙空間・避難誘導のための人流解析
阪神高速先進技術研究所様との共同研究として取り組んできた研究テーマです。カメラ等での人流解析が困難な状況下で、モバイル端末のWi-Fiプローブ要求を用いて端末台数推定を行うことで、安価かつ広範囲の人流解析を実現しています。(担当:長久保伊吹)
Wi-Fi CSI を用いた行動認識
店舗内でカメラを用いずに人流解析を実現するために、安価なWi-Fiモジュールを持つデバイスを使ってCSI(チャネル状態情報)で来店客の行動認識を行う手法の開発をしています。(担当:山口翼)
BLE測位による位置ガントチャート生成
BLE測位によるガントチャートの電波のゆらぎによる精度低下を防ぐため、モーションデータを考慮した位置ガントチャート補正アルゴリズムの技術開発。既に簡易センサを事業化している共同研究先企業への提供を目指しています。(担当:本多礼奈)
Project 3 時系列データを用いた予測モデル
商品特徴量を考慮した新商品の販売予測
過去の商品の様々な特徴量と販売実績から、新商品の販売予測を機械学習により行う技術開発。協力企業からの商品・販売データを受けて、主成分分析、クラスター分析、機械学習モデルなどにより未知の商品の販売予測を行うことを目指しています。(担当:長久保伊吹)
自己回帰モデルを用いた販売予測
協力企業から提供された商品情報、顧客情報、外部イベント情報、販売実績を特徴量として自己回帰モデルによる販売予測モデルを作成しています。(担当:鎌田楓華)
ミューオンを用いた火山活動の可視化
宇宙線ミューオンを使った岩手山の透過プロジェクトのお手伝いをしています。
ミューオン観測機から収集された岩手山の岩盤密度の時系列分析から噴火予知や火山活動の観測に活用可能かを機械学習を使って分析する研究となります。(担当:長久保伊吹)
Project 4 人間の行動分析
看護業務の行動分析
簡易センサを用いて、病院の看護業務における行動分析に関する技術開発。主に位置情報とモーションデータを実証実験で収集し、分析方法を開発しながら課題の明確化や業務分析を行なっています(担当:本多礼奈)
オフィスコミュニケーションの可視化
オフィスを対象に行動分析と音声分析を組み合わせることで、コミュニケーション を可視化する取り組みです。動画解析による動線分析や音声タグから収集した会話内容を生成系AIや自然言語処理を用いて業務内容を分析する技術を開発しています。(担当:未割り当て)
簡易センサによる建設現場の危険の発見
建設現場の作業者を対象に、センシングデータから作業分析や危険箇所の予知をする取り組みです。加速度・角速度データを用いた変化点検知から逸脱動作の検出を行う技術開発を行います。(担当:未割り当て)
状態を考慮したWeb パーソナライズ
「利用者の動作・状態」をWebパーソナライズに活用することで、新しいWebサービスを創出しようというものです。加速度・角速度データから機械学習でどの状態かを判別することで、状態に応じたインターフェースの動的生成やECサイトのレコメンを目指したプロトタイプを作成しています。(担当:小山田朱里)
Project 5 スマート農業 他
衛生データを用いた農地管理
衛生から提供される光学データやSARデータを用いて、農地管理やカーボンクレ ジットを行うための技術開発。圃場の区画把握や正規化植生指数/後方錯乱係数を算出しています。今後は、地上のセンシング技術を取り入れ、広範囲な農地管理を実現することを目指しています。(担当:小山田朱里)
ロボットアーム
ロボットアームが人に代わってスマートフォン向けアプリケーションの稼働を24時間365日監視する「ロボットアーム型アプリ稼働監視サービス」を開発し、共同研究先で事業化しました。
画像認識技術やRPAの研究として取り組んだ成果を、企業様の課題に適用した事例になります。(担当:未割り当て)
ドローン
ドローンの無人着地の精度向上のため、ビーコンを用いたドローンの電波誘導システムを開発しました。
自動追尾航法と中継地点経由航法を開発しています。ドローンによる物流配送が広まった時には、必要になる技術だと思います。(担当:未割り当て)
地域活動のデジタル化
山田町との共同研究として、地域情報に関する画像をSNSで収集画像分析を活用してアプリで配信する仕組みを構築しました。また、小学校でのプログラミング授業やLine Worksを使った町内会業務の効率化にも取り組みました。(担当:未割り当て)
屋内測位
本研究室の産学連携の源流となったプロジェクトです。BLEビーコンの電波強度を用いて測位を行う独自技術を開発し、学生ベンチャー企業をしました。駅構内ナビゲーションやO2Oの分野で活用されました。(担当:未割り当て)
スマートタグ
地域企業と共同で、工場の作業者行動を即日分析可能なスマートタグを開発しています。測位とモーションセンシングができる小型スマートタグです。共同研究先で「InQross」として事業化し販売しています。(担当:堀川三好)